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iwao's diary

小林巌生のブログ

International Open Data Day in YOKOHAMAレポート

先日世界同時105都市にで開催されたInternational Open Data Dayだが、横浜でも「International Open Data Day in YOKOHAMA」が開催された。横浜のこのイベントでは午前10時から三つの分科会が開かれ、そして、夜のオープンデータパーティーまで、総勢120人を超える参加者を集め盛況であった。

横浜でのオープンデータの盛り上がりは日本の他の多くの都市と大差はなく、去年の夏頃から始まった。(我々の横浜LODプロジェクトなど先行事例はあったが、、)

まず、国が昨年7月に「電子行政オープンデータ戦略」を策定し、続いて総務省が設置したオープンデータ流通推進コンソーシアムに横浜市も賛同自治体として参加することになった。9月の横浜市会ではオープンデータの重要性を訴える議員の質問に対し林文子横浜市長はオープンデータへ取り組むことを明言した。そして、12月には内閣官房の設置したオープンデータ実務者会議において自治体では唯一、横浜市から政策局の長谷川さんが参加することとなった。

以上の政治的な動きに加えて、民間側の動きとして、民間主導によりオープンデータを推進する目的で地元企業、NPO、研究者を中心に横浜オープンデータソリューション発展委員会が発足した。

同委員会は11月に富士ゼロックスの協力、横浜市後援のもと、キックオフイベントを開催。「オープンデータが紡ぎだす新しい公共」をテーマに対話型のワークショップを実施した。翌12月にはヨコハマ・アート・LODプロジェクトの実践で先行する公益財団法人横浜市芸術文化振興財団と共催で文化観光をテーマに具体的なオープンデータ活用のアイディアを話し合うワークショップを開催、さらに今年1月にはLODチャレンジ実行委員会との共済で25時間のハッカソンを開催、先のワークショップで発案されたアイディアを元に具体的なアプリケーションやサービスを作り出した。いずれのイベントもそれぞれ100人前後の多様な参加者が集まり、多くの成果が生み出された。(それぞれの成果は別途整理したいと思う。)

そして、今回のInternational Open Data Day in YOKOHAMAは横浜オープンデータソリューション発展委員会が主催する今年度の一連のオープンデータ啓発イベントの山場であった。

分科会1ではオープンデータを活用したスマホ向けアプリを利用して町歩きを実施した。利用されたのは先のハッカソンで生まれた成果の一つで市立図書館などから提供された明治時代の錦絵などのデータをスマホのカメラ越しに実風景と重ねて見ることができる「横浜歴史フィールドミュージアム」。そして、ヨコハマ・アート・LODを活用した横浜の地図アプリ「横浜MAPS」だ。この分科会の目的はハッカーやエンジニアでない人々に対して、体験を通じてオープンデータの意義を感じてもらうことにある。いずれのアプリもスマホのGPS機能により自分がその時にいる場所を起点とした情報提供を行う機能を持つ。オープンデータとして提供されるPOIが緯度経度データを持ってさえいればこうした機能を活かすことができるのだ。また、ヨコハマ・アート・LODのようにPOIとイベント情報がリンクされたデータであれば、場所と時刻に応じたイベント情報の提供も可能となる。さらに、緊急避難場所のデータや、推奨帰宅経路データなど災害時に必要とされるデータがマッシュアップされると良いかもしれないなど参加者からも活発にアイディアが発せられていた。(残念ながら現在横浜市が公開しているデータでこうしたことを実現するのには少し手間がかかるとは思う。もっと公開の仕方を工夫してもらわねばならない。) 

以上のようにオープンデータとの関わりをリアリティを持って想像してもらうのにも実際の街歩きは有効であったと思う。

 

分科会2ではハッカソンを開催した。「横浜が日本で最初」チームでは開港都市ならではの横浜に数多くある「日本初」を集めたデータを作成した。このデータはKML形式として公開しておりGoogleEarthと組み合わせることでバーチャルツアーも可能だ。

同テーマのデータは横浜市中区が「中区の歴史を碑も解く絵地図」として編纂をしており、また、観光コンベンションビューローも同様のデータを持っている。これらがオープンデータ化されることを期待している。

NPO Linked Open Data Initiativeの加藤さんが参加したチームは日本の都市では初となる横浜のデータカタログサイトの構築を行った。オープンデータカタログとしてはグローバルスタンダードとなりつつあるオープンソースソフトウェアであるCKANを利用し、サーバーはMicrosoftからクラウド環境であるAzureの提供を受けた。CKANには別のCKANとの間でデータを連携する機能を備えており、すでに稼働しているdata.linkedopendata.jpとの連携も計画している。

 

(ハッカソンの他の作品については、後日詳細をキャッチアップしてから追記します!) 

 

三つの分科会は「横浜をWikipediaタウンにしよう!街歩き」と題して横浜の魅力資源についての記事をその場で作成しウィキペディアに投稿するワークショップを行った。講師に日本のウィキペディアコミュニティの中心的存在であるくさかきゅうはちさんを招き、また会場と資料を横浜市中央図書館から提供を受けた。

横浜市認定の歴史的建造物をテーマに設定し、そこから事前に4つの対象をピックアップ、図書館には関連資料を用意しておいてもらった。当日はくさかさんによるウィキペディアに関する基礎的なレクチャーの後、グループに別れて資料を見ながらそれぞれ記事の作成を行った。

図書館で資料を調査した後はフィールドワークへ出かけ、各チームそれぞれ対象となっている歴史的建造物を実際に訪れ写真撮影などを行った。その後さらに会場をさくらWorksへ移し再度記事を編集、ウィキペディアへのアップロードを行った。

今回の参加者にはウィキペディアの編集経験を持つ人は誰もいなかったが、次の4つの記事を書き上げることができた。

 

(加筆)http://ja.wikipedia.org/wiki/掃部山公園

(加筆)http://ja.wikipedia.org/wiki/汽車道

(新規)http://ja.wikipedia.org/wiki/横浜情報文化センター

(新規)http://ja.wikipedia.org/wiki/インド水塔

 

このワークショップでウィキペディアを利用した狙いはいくつかあるが、オープンデータに寄り添った見方をすれば、ウィキペディアの編集を通じてプログラミングのようなスキルを持たない参加者が自らオープンデータを作る試みであったと言える。ウィキペディアのコンテンツはクリエイティブ・コモンズ・ライセンス(CC-BY-SA)で提供されており、それ自体がオープンデータと言える。さらに、ウィキペディアから機械的にデータを抽出しLOD化するDBpediaプロジェクトもあり、ウィキペディアの応用範囲はオープンデータの世界でも日々拡大している。

参加者からは、普段から利用しているウィキペディアに自ら作成した記事をアップすると、それが普段見慣れた他の記事と同じようにウィキペディアに存在するようになるというのは快感だという。

それだけ、ウィキペディアはウェブにおいて、または、我々の日常において重要な存在となっているということだろう。

このアクティビティはぜひ今後も継続していきたいと思う。

 

そして、三つの分科会の後はオープンデータパーティーが開催された。

会場は今回の一連のイベントのメイン会場であるシェアオフィス「さくらWorks」で引き続き行われた。

前半ではInternational Open Data Dayを開催した日本全国の他の都市との中継、分科会各チームの成果報告が行われた。

後半はNPO Linked Open Data Initiativeの設立パーティーとして、武田英明代表理事よりNPOの紹介があり、経済産業省CIO補佐官平本さんからは挨拶をいただいた、「国連の会議で日本のオープンデータの取り組みを発表してきた。オープンデータ後進国と見られてきた日本であったが、ここ1年の爆発的に広がった活動の報告をし、世界にはダークホース的存在として映っただろう。」と冗談交じりに語っていた。また、鯖江市情報統計課の牧田さんも牧野鯖江市長のビデオメッセージを携え駆けつけてくれた。(さらに、鯖江の銘酒梵まで差し入れてくださった!もちろん、梵はパーティーの参加者全員で美味しくいただきました。ありがとうございました!)

LODチャレンジ実行委員会の事務局長乙守さんからはLODチャレンジの紹介として、今回のLODチャレンジへの応募作品「A Little and Big World - Tales of LOD」の朗読をいただくなど、、とても密度の濃い会となった。

 

これまでの一連のイベントを通じて、オープンデータの認知はだいぶ広がったと思う。そして、今回のInternational Open Data Day in YOKOHAMAでは三つの分科会を通じてオープンデータに対する多様な関わり方があるということも示すことができたのではないかと思う。

しかし、横浜370万都市においてオープンデータを媒介とするエコシステムを実現するためにはまだまだプレイヤーの数が足りていないと感じる。地元企業、NPO、大学、研究機関、公共セクターなどより多くの主体を巻き込みながら、それぞれのプレイヤーが持つ既存のコンテキストまたはスキームにオープンデータを引き寄せて活用していくことにより、着実にグッドプラクティスを積み重ねていく必要があるであろう。